「くらしクリエートフォーラム2023 in 関西」で研究実績の「消費者問題へのアプローチの手法の事例」発表しました。

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 令和5(2023)年2月23日に大阪産業創造館とWEBにて開催された、くらしクリエートフォーラム2023 in 関西では、当団体が2019年から継続して取り組んできた、消費者団体として消費者問題の意見表明を手法の事例を発表をしました。

↑画像をクリックすると資料動画がご覧になれます。(動画時間:6.5分)

当団体の分科会では、消費者問題という社会課題と向き合うことを、原点から始めました。

 なぜなら、多くの消費者団体は設立されてからかなりの期間が経ち、高齢化で内向き思考、変化を排除するなど、消費者団体の法的な役割から逸脱していることが目立ち、現役世代のくらしの向上に寄与することが少なくなったからです。

消費者団体の健全な自主的な活動の形骸化問題

 当団体は、自主運営の消費者団体で会員の会費のみで運営されています。

 ある程度の規模の消費者団体の場合は、NPO法人化されており、賛助会員やバックグループなどの経済的な支援で成り立っています。

 当然ですがバックグループ内の業界団体や企業に忖度が発生します。看過できない事案としては、消費者団体として行政イベントで、バックグループに都合の良い、他社商品のやサービスへの批判のスピーカーに使われていたことを実際に現場で目にしたことがあります。
 これは事業者にとってのロビー活動であり、消費者の選択に困惑を生じさせる内容です。

 その後に、ファイナンシャルプランナーなどが専門的な質問をして、自ら理解しての行政イベントでの意見表明でなかったことが明らかになり、その事実を監督官庁へありのままを報告しました。その後はその消費者団体はメンバーが真相はわからいまま解散が急遽決定しました。

 このように、一線を超えた場合は消費者の合理的な判断を何らかの強い力を持って、意図しない選択をして、結果的な消費者が不利益につながるのであれば、ある程度の監視が必要と感じます。
 消費者団体は消費者の代弁者である社会的な立場から、一切の忖度はあってはなりません。

 社会的な立場から行政や政治家、政党との適度な距離を保たなければなりません。
 ですが、行政等に忖度し、行政等のあり方に対する検討や要望することを一切しないで行政の対応を全て肯定する消費者団体は少なくありません。
 事業者として税収入で行政サービスを提供する行政側と、納税者として消費者側の関係に無関心な地域が発生している要因になっています。

 消費者団体の立場から逸脱した団体が多い地域や発言力が強い地域の消費者行政は、残念ながら積極的な消費者行政の運営をしていない現状があります。

 消費者基本法での消費者団体に求められる姿は“健全かつ自主的な活動”が可能な団体であり、その要件を満たしている消費者団体は多くはありません。

 また、NPOの設立条件の健全性から逸脱している団体が少なくないことが、該当地域の行政サービスの品質に影響しています。

当団体は会費のみの自主運営で大規模事業はできないが、消費者団体として健全かつ自主的な活動を継続

 当団体は、自主運営のため忖度は一切なく自由な意見が発言でき、消費者問題として研究するテーマも忖度のない多くの消費者が被害にあっている事案を扱うことができます。

 それが原点から消費者団体のあり方を調べることができた理由です。

 この法の形骸化が、国内の社会構造的な消費者問題が多いことに着目しました。

 そして、消費者団体としての消費者問題に関係する政府への意見表明を、他のプロジェクトで必要に応じて実施することにしました。

 意見表明は、感情的なコメントや上位団体から回覧されてきた内容などを丸写しして署名するものではなく、消費者団体で理解して何をどのように伝えるかを、ケースバイケースで考えなければなりません。

 丁寧にまとめられた意見表明の意見書は、少なからず政府の内閣または国会議員、各省庁の官僚に伝わり、消費者団体からの意見書の内容がキッカケとなり、停滞していた問題が急展開することがあるのです。

 今回は“健全かつ自主的な活動”する消費者団体が忖度なく消費者問題にアプローチした手法を事例のひとつとして紹介しています。

意見表明の最初のキッカケは、初めての通信分野の消費者問題の取り組みへの自己防衛

 資料にも紹介していますが、政府への意見表明は2019年11月に実施された「大阪府消費者フェア2019」への当団体のテーマアップ内容で、事前に大阪府へ説明することが予定されていました。

 当時は、携帯電話の料金プランの複雑すぎる仕組みが、消費者が十分に理解できないことを悪用して販売代理店などで、消費者側が納得感のない契約をしていることが全国的に発生していました。総務省は電気通信事業法の消費者保護ルールのガイドラインを策定し、消費者庁の関連した独立行政法人の国民生活センターの被害件数は他のジャンルとは桁違いに多く、実質的に消費者問題というより社会問題化していました。ですが、行政の大規模イベントにて携帯電話などの通信業界の消費者問題を扱うことはありませんでした。

 消費者の身近にある消費者被害が、消費者問題として扱われない状態でありながら、地方の消費者行政の大規模イベントでは行政から説明を求められたのです。当団体の分科会では出展元を政府の省庁や電気通信事業者に限定して、意見ではなく事実のみの構成で啓発を行う予定でした。ですが、事前説明が気になったので、政府の内閣総理大臣宛へ、啓発する内容を丁寧に説明し、行政の長としてイベントの開催を保証をお願いした文面で、意見書を内容証明郵便で送付しました。その後の展開は資料をご覧ください。

 誰にでも“初めて”はあります。政府に意見表明することに躊躇することは、消費者団体として消費者の代弁者の役割を果たしていないことになります。
 誰も無理と諦め、うまく考えつかないことを否定することは理解より簡単です。
 日本の文化では少数派で実際に成果を上げる個人や組織を、多数派が数の暴力で、衰退する側に引きずりおろすことはよくあります。
 この嫉妬の文化が、国内社会の停滞の要因であり、新しい情報を受け入れる柔軟性よりも簡単な拒否を選び、衰退を選択し続けて現状に至ってます。

消費者被害の効果的な対策は消費者被害の最も効果的な対策は未然防止

現実に発生している深刻な消費者問題を理解する機会や、その前提となる知識を理解することを拒否して、労せず成果を望むことは“過大要求”です。

 そのような社会的なマインドから、抜け出るためには新鮮な幅広い情報を収集することで、情報の取捨選択に慣れ、幅広い知識と柔軟性が養われます。

 まずは現実に何が起きているのか、“見たくない”、“聞きたくない”現実逃避から脱却しましょう。

 現実を受け入れて前提となる知識などを理解し、前に進むことが消費者被害など騙されない自立した「希望」のあるくらしに近づくことになるでしょう。成果は努力や工夫次第で簡単に出ます。

 皆様が、自らのくらしを自立したものに取り戻し、消費者被害にあわないことで、無駄な支払いが軽減され、可処分所得が少しでも増えれば、政府も苦戦している「希望」の実感が、国民一人ひとりの取り組みの積み重ねでできるでしょう。