くらしクリエートフォーラム2024 in 関西にて、「求められる消費者問題の対策」を報告

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◾️この記事のポイント
⚫︎大阪府消費生活リーダー会は、消費者問題についての報告を行いました。報告では、消費者が日々直面する問題や、消費者被害対策の優先度が低いことが指摘されています。
⚫︎多くの国民が「クーリングオフ」の権利について誤解があること、消費者相談窓口への相談が少ないことなどが問題として挙げられています。
⚫︎報告では、消費者問題を2つに大別しています。1つ目は、高齢者や障がい者などの社会弱者が消費者被害のターゲットになりやすい問題です。2つ目は、現役世代の一般消費者が新商品やサービスを扱う際の問題です。
⚫︎消費者として自立するためには、「消費生活」すなわち「くらしの知識」が必要であると指摘しています。しかし、現在の教育では、契約や投資、権利と責任、ライフプランなどについて学ぶ機会が不足しています。
⚫︎最後に、消費者問題を啓発すると、異端児扱いされることがあり、これが成功者や高度人材の海外転出を促していると指摘しています。
⚫︎この報告は、消費者問題について国民が現実に向き合うきっかけを提供することを目指しています。

出展内容の選定にあたって

 消費者団体 大阪府消費生活リーダー会は、分科会の大阪府消費生活研究会を中心に、くらしクリエートフォーラム2024 in 関西の実行委員として、「求められる消費者問題の対策」を報告しました。テーマの選出にあたっては、直近の大阪府消費者フェア2023で得られた気づきを深掘りして考察しました。

↑報告動画

くらしクリエートフォーラム2024 in 関西の開催概要

  • 開催日時:2024年3月20日(祝) 14:00〜17:00
  • 開催場所:大阪産業創造館(Zoomにて同時オンライン開催)

報告内容資料

  • 報告動画資料:8分未満
  • 報告動画資料を紙面化したPDF:10ページ

大阪府消費者フェア2023の出展内容

報告内容詳細

 多く国民が“くらし”の中で消費者問題に日々振り回されている中で、”消費者問題”、”消費者”というキーワードに自覚がなく、無意識の間にくらしの経済損失が増える一方ですが、何となく納得していないが自己責任として泣き寝入りして仕方なく許容しています。
 国民の無関心の要因の一つに、政府や国会の消費者被害対策の優先度がかなり低く、社会弱者などの格差社会を社会構造的に発生拡大させています。なんとなく国民は気が付いている状態ですが、政治家でさえうまく言葉にまとめられない状態なのでしょう。

 例えば、”クーリングオフ”という消費者本人もしくは弁護士などの法定代理人だけが法律行為として不当な契約を無条件、無理由で書面または電子メールにて、消費者が規定期間内に解約する意思を発信することで、契約解除が可能です。
 ただし特定商取引法に該当する場合のみであるにも関わらず、多くの国民は全ての商取引に利用可能だと勘違いしており、実際にクーリングオフの権利を行使の経験がないことがわかっています。

 消費者行政が推奨している特定商取引の契約に対するクーリングオフは、法的な権利行使にあたり、基本的に弁護士のみ代理できる、実はハードルの高い権利行使になっています。
 しかしながら地域の消費者相談窓口に相談することを思いつかなく、また”相談すれば負け”と自己責任にて失敗したと思い込み、生活の中での近くにいる親族や友人への相談を躊躇して、孤立して必要な情報や行政の支援など、消費者対策の知識を得るキッカケを自ら遠ざける方が散見されています。

 今回の報告内容では、1つめの消費者問題として、高齢者や障がい者、社会弱者と呼ばれている境界知能の方などの、判断能力が低下している状態を悪用され、消費者被害や悪質商法、特殊詐欺のターゲットになりえるため福祉を含めた包括的な消費者保護対策が必要としています。一方で、心身ともに健全な現役世代の一般消費者は新たな商品やサービスを扱う際に下調べなどの準備をして、自己の思い描いている目的を達成するのが理想です。現実は、厳しく思い描いていた理想に対して、残念ながら出来栄えに妥協点を受け入れることも少なくありません。これがもうひとつの“消費者トラブル”となります。

 自立した消費者として育成するための機会、“消費生活”すなわち“くらしの知識”は大人になる義務教育などの学問の過程では、契約や投資、権利と責任、ライフプランやライフステージなど、キャリアプランの計画や、計画進行中の方向修正のスキルには触れる事がありません。学問や教育よりも優先されて、性教育と同じく”生きていくための能力”について、向き合うことがないのが今のシニア世代が変更を拒み、前例踏襲主義の日本社会の現状です。
 消費者問題を啓発すると、真面目な意見を唱える者を異端児扱いする日本の習慣が根底にあり、成功者や高度人材の海外転出に歯止めが効かない状況になっています。

 今回は、この諸問題の根底にある消費者問題を2つに大別して、国民が現実に向き合う初歩的なキッカケとして忖度なく問題提起させていただきました。