「特定商取引法・預託法の改正法案における書面交付義務の電子化を認める条文案の削除を求める意見」を政府等へ提出

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法改正への意見の経緯

 政府が今国会に提出している特定商取引法・預託法の改正法案では、従来消費者保護のために重要な役割を担ってきた書⾯交付について、消費者の承諾を前提に電磁的⽅法を許容するとの内容が盛り込まれています。

 これに対しては、クーリング・オフの機会を失う、⾼齢者被害そのものに気づきにくくなる、成年年齢引き下げと相まって若者のマルチ被害が急増する等の懸念があり、消費者団体や弁護⼠会・司法書⼠会など、様々な団体から意⾒書が出されました。(集計:全国消費者団体連絡会 令和3年5月13日:164団体)

当団体の取り組み

 当団体では、「消費者基本法第二十六条に基づく消費者団体から政府等への意見」を消費者団体として、国会の特別委員会の与野党議員や政府側の担当大臣や消費者庁の官僚に向けて、憲法や特定商取引法の意義、消費者問題を取り巻く現状を説明を含めた内容にしたうえで、本法案の特定商取引の契約書面の電子化の改正に際して、消費者保護のための法律であることから、法改正と取り締まりの強化とセットが特定商取引法の本来あるべき姿と考え、国会での議論の硬直化を打破するために、一歩踏み込んだデジタルによる行政の活用で、悪質業者の取り締まりの強化と、消費者行政の効率化などのアイデアを、令和3年4月26日発信に提案しました。

 国は、国民の消費生活の安定及び向上を図るため、消費者団体の健全かつ自主的な活動が促進されるよう必要な施策を講じる。

消費者基本法 第二十六条(消費者団体の自主的な活動の促進)

 当団体が本件に関して、提出した意見は次の通りです。※個人情報などは非表示に加工しています。

その後の国会での特別委員会の質疑

 令和3年5月28日の参議院の地方創生及び消費者問題関する特別委員会での進藤金日子(自由民主党・国民の声)から、事前質問のない次の内容を担当大臣へ提案しました。

 電子化にかかわらず特定商取引事業者は、すべて届出により番号を取得して、契約書面に番号に記載して、トラブル発生時に消費者庁へ番号を照会して、当該事業者や関係者の行政指導や処分など履歴が確認できるように、デジタル技術を活用して有効な対策として、消費生活相談の現場の効率化や、消費者が当該事業者の健全性などの実態の確認に利用できないか

参議院インターネット中継 令和3年5月28日の「地方創生及び消費者問題関する特別委員会」より

 担当大臣は事前通告がなかったにもかかわらず、乗る気で和やかに「非常に賛同できる部分があり、ぜひ前向きに検討を進めていきたい」と回答しました。

 参議院の公式ウェブサイトの、参議院インターネット中継 令和3年5月28日の「地方創生及び消費者問題関する特別委員会」の00:50以降から、当団体の意見の趣旨と偶然に一致した内容が、与党の委員から担当大臣へのやり取りが確認可能です。

参考リンク